Casa da Musica（2005）

レム・コールハース+OMA ポルト／ポルトガル 世界の建築レポート#1 はじめての回は、レムのカーサ・ダ・ムジカです。

ポルト中心部北西にあるボアヴィスタ通りのロータリーに面して建つカーサ・ダ・ムジカは、ポルトがEU文化首都（2001年）に定められたことを記念して建設された、ポルトガルで初めての音楽専門施設で、レムによる独創的なデザインが特徴です。 わたしが訪れたのは、2013年夏。 ポルトガル１人旅中のとってもあつい日でした。 カーサ・ダ・ムジカ駅から、とぼとぼと、看板を目印に歩くこと数分。 突然、街の中に現れる独特のフォルムに、「なんじゃこりゃあ！」となります。だって、まわりの街並みは、どちらかというと下町的な雰囲気で、特にわたしが訪れたときは、周辺が工事中だったため、違和感！となりました。 歴史的な街並みの中にきれいな建物が、ぽわん！とあるんだもん。 きっといま再開発が進んでいる地域なんでしょうね。

向かいはこんな景色。ガッツリ工事中でした。あついし、乾燥してるしで、すこしほこりっぽい。

そんな第一印象の中、はやく着きすぎたので、受付でツアーの確認をしつつ、しばらくプラプラ。階段をのぼったり、降りたり。おもわずショップでオリジナルのステーショナリーも買ってしまったり。 もちろん音楽ホールの受付でもあるので、しっかり＆広々としたロビー空間です。機械的なデザインで、クールな受付では、チケットが売ってたり、ポスターがいっぱい貼ってあったり。サインもヨーロッパならではの、大胆でお洒落な感じ。日本とはやっぱりセンスが違うんだよな〜。

待っているとだんだんとツアー参加者が集まって来ました。年配の夫婦や、30代くらいのグループが多かったです。アジア人は私だけでした。ヨーロッパの人が多いのかな？ツアーは英語で行われます。 そして、いざ見学ツアースタート！ ガイドさんに導かれるままに、奥に進んでいきます。

避難経路の写真ですみませんが、平面はこんな感じらしいです↑↑ 中央の音楽ホールがあって、そのまわりを練習室とか諸室が回っています。平面もカクカクですが、断面でもカクカクしていました。

とにかく、階段とかエレベータとかの斜め移動が多い！ どれも映像がうつりかわるように、フレームが変化していくように、雰囲気のちがう空間が続いていきます。

エメラルドグリーンの吸音壁かわいい。 外部空間がバーン！と現れたり、景色の変化がほんとうに面白い。 エッジがシャープでキレイ。

壁に吸い込まれていくエスカレータ。SFぽい。

この２つの空間はめちゃくちゃ心地よかったし、楽しかった！ 傾斜した絨毯の床にすわれるお部屋と、 壁と天井がクッションになっているお部屋。たしかキッズルームだったはず！ 照明がまるで星空のようでした。 そのまま眠っちゃいそうな幸せな空間。 そこからは、ホールの様子がばっちり見えまして、 たまたまその日はポルトの管弦楽団が練習している様子が見え＆聞こえました。贅沢でした。

そのままぐるーっとホールの後ろ側をめぐって、

反対側の小ホールへ。めずらしくほぼ四角い空間！赤い吸音板の壁と天井がポルトっぽいアクセントになっているなあと思いました。空もばっちりみえてきもちいいですね。

階段空間がいちいちステキなんだな。 光のあたり具合とか、素材感とか。 自然光と照明の光のバランスとか。 陰影加減が、彫刻的ではなくて、映画的な空間だとやはり思いますね。 なんでだろう。

いろんな空間が次々と現れて、本当にマジックみたいな建物でした。 胸がいっぱいになって、ツアーが終了。 毎回建物を見に行ったときは、カフェがあればカフェに寄って、トイレがあればトイレに寄って、すみずみまで堪能して帰ります。 カーサ・ダ・ムジカも0階にカフェがあったので、一息ついて外にでました。 ますますの快晴！ めちゃくちゃ快晴が似合う建物だなあと。改めて眺めながら思いました。

地面もup downがありました。広場って、こんな傾斜があるだけで一気に使いやすくなる感じがあるなあと。ポンポドーセンターの坂道じゃないけど。すわれたりとか、あそべたりとか集えたりのレベルが一段とあがる気がする。 座ってしばらくスケッチタイム。

決してちゅうぶらりんな存在じゃなくて、地域の人に使われて、馴染んでいる地域にちゃんと着地している隕石のような建物でした。 現代建築をみてわくわくした久しぶりの経験になりました。 レムに対する価値観がはっきり変わった建築。すごく居心地がいい。 そしてとても映像的で、飽きることがない。 こんな建物がひとつあることで、地域の誇りになるなあと思いますね。 たのしい建築めぐりでした。 ほんとうに行ってよかったー！ つぎは、ここで音楽のコンサートが聴きたいです。